【多摩散歩】三鷹市山本有三記念館に行ってみた
すっかり日記に書くの忘れてたんですけど、先月近所を散歩がてら「そういえば近所なのに行ってみたこと無いね的なところに行ってみよう」みたいなノリで山本有三記念館に行ってみました。
本当は上野まで出て立体曼荼羅を見るつもりで家を出たんだけど、駅に向かう途中で電車怖い病を発症したので急遽近所を散策することに…
単なる寝不足だと思うんだけどちょっとした体調不良で不安スイッチが入ってしまうのでちゃんと寝ようと思いました。反省。
というわけで、ご近所散策がてら吉祥寺へ。
三鷹市山本有三記念館
三鷹駅の南口から玉川上水沿いを歩いていると山本有三記念館があります。
前から「何かあるな」とは思ってたんだけど立ち寄ったことはなく。
せっかく時間もあるしノープランであるいてたので入ってみることに。
平日の昼間でしたが結構人がいました。
絵画サークルとか、文学サークルとか、団体さんがちょいちょい。
写真にもちょいちょい写りこんでますけど写生してる人たちがたくさん。
ここ、屋外トイレもあるから使い勝手がいいんだろうなー。建物も綺麗だし。
建物と庭は無料で見学できます。
建物の中は資料館になっていて、300円(大人)で入館できます。
ちょうど「女人哀詞の時代」という企画展をやってました。
学がないので恥ずかしんですけど、「唐人お吉」と呼ばれる伊豆下田の芸者・斎藤きちをモデルに書かれたお話らしくて、小説だけでも7作もあるらしい…。
舞台や映像作品も沢山あるそうで。
その中の一つが山本有三の「女人哀詞 唐人お吉物語」なわけで、ちょうどその展示をやってました。
興味がある人は「唐人お吉」で調べてみると良いかもしれない。
簡単に説明すると、下田に上陸したハリスが慣れない異国の土地で病に臥せってしまったので看護婦を募集したところ、当時看護婦という概念を理解できなかった日本政府(幕府)は妾の斡旋と勘違いして地元の芸者、斎藤きちを行かせたっていう経緯。
当時の日本は外国人に対して免疫が全くなかったし誤解も多くてきちも最初は断ったらしんだけど幕府からの頼みだとまぁいろいろあったんでしょうね、最終的にはハリスを看護するんですけど、ハリスが元気になったらお役御免。仕事がなくなっちゃったんで芸者に戻るんだけど、周りの人からの迫害が酷くて酒浸りの日々を送りアルコール依存症になり最後は自殺する、ていう悲劇の物語なわけで、無知ゆえの正義は人を追い詰めて尊厳を奪うっていう構図は今も昔も変わらないんだなっていう、ね。世知辛いなぁ、ほんと。
当時の情報網がどんなものかなんてたかが知れているし、どうせ口づての伝言ゲームで真意なんでどうでもいい、ちょっと面白い話題だからのっかっただけ、あいつは貶めてもいい人間だ。みたいな感情が一人の女性の人生を狂わせあげく死に追いやっていく。
今もインターネット、とりわけSNSで回ってきた情報におどらされて正義を振りかざして悪人を作り上げこいつには何を言ってもいい貶めて侮辱して世間から抹殺しても良いなんて思いながらツイッターやってる人たくさん見かけるけど、いつそのターゲットが自分になってもおかしくない状況だって事を理解しておいた方がいいよなって思います。
話がそれたので元にもどすと、プッチーニのオペラ、蝶々夫人も近いテーマだなーなんて思いながら展示を見てました。
蝶々さんは没落藩主の娘が海外の役人へ現地妻としてあてがわれていた習慣を元にフィクションで作られたお話だけど、蝶々さんほど悲劇的な最期を迎えた女性は史実には残ってないとはいえ、似たような境遇にあった女性が複数いたことは確かなわけで。なんというか酷い話だよね。
だからこそ心を動かされ創作のテーマになるんだろうけど。
「唐人お吉」に関しては現代でもそこらじゅうで蔓延している正義と言う名の大義を振りかざして他人を攻撃し対象者を死に追い詰めるっていうテーマなのでより重いなって思いました。
とまぁ、ちょっと興味を持った方、是非山本有三記念館に行ってみてください。
建物の中を見学するだけでも楽しめます。
東屋からの眺め
庭が本当に見事で、四季折々の花が楽しめるようになってました。
この日は4月の半ばで桜が散ったあとだったんですけど、新緑が眩しい季節。
もみじの花が満開でした
大きなもみじの木が植わっていて、秋の紅葉が楽しみ!!桜も植わっていたので相当綺麗だと思う。
新緑もかなり良かったですけど。
もみじの花をこんなにまじまじと見る機会が無かったなぁ。
奥に見えるのが記念館です。
山本有三がかつて家族で住んでいた家。
戦後、進駐軍の接収に遭い引越しを余儀なくされるも、接収が解除されると有三が東京都へ土地と建物を寄贈、その後三鷹市の持ち物になって記念館として運用されてるらしい。
もともと吉祥寺に住んでたらしんですけど、家族が増えて手狭になったし人が増えてごちゃごちゃしてきたんで静かな三鷹に移ってきたんだって。今もこの手の話よく聞く(笑)
昔はこのあたり何もなかっただろうからかなり静かだったんじゃないかな。
今は住宅地ですけど。
北側に玉川上水が流れててちょっと歩けば吉祥寺の繁華街、ロケーション的には最高だよね。
この辺りにはめずらしい巨木もたくさん残ってます。
近所にこんなところがあったのかー、っていうのと山本有三って名前は知ってるけどどんな作品書いてる人なんだかさっぱり知らなかった無知野郎なので知れてよかったです。
常設の展示で一番印象に残ったのは、有三の娘が書いた「いいものを少し」という本。
有三の持ち物と共に展示されてました。
質素ともちがう、本当に気に入ったもの、ちょっといいものを持つ、身に着ける。有三の人となりがこれだけでかなり立体的になりますよね。
これ読んでみたいなぁ。国会図書館でしか読めない感じなんですけど…どこかで読めないかなぁ。
本当に気に入ったもの、いいものを少し、っていうコレ、なかなか難しいけど衝動買いしそうな時、妥協して安いものを買いそうになった時に思い出してます。
突発で行ってみたけどかなり楽しめました。
三鷹に来られた際は是非。