R.I.P David Bowie
わたしの初デヴィッドボウイは『世界を売った男』だったと記憶している。
大学生の頃だった。
大学の購買部に楽譜やらなんやらを卸していたと思われる某楽器店の営業さんと仲良くなって、よく輸入版のスコアやCDを用立ててもらっていた。
今思うと、あの売り方って商売的にというか契約的にかなりグレーだと思うんだけど、どっちにしろもう時効なので大目に見てもらうとしよう…
その営業さん、鈴木さん(仮称)がある日、「ケルコさん、こういうの好きそうだからあげる」と言って開封済みのちょっと古いCDをくれた。
一枚はデヴィッド・ボウイの『世界を売った男』と、もう一枚は忘れた。
たしか非売品とかいてあったので、プレスや販売店向けのサンプルだったんだと思う。
販売店の大掃除か鈴木さんのデスク掃除で出てきた不用品だったのか、詳しくは知らないけど、こういう所に出会いってあるんだなと思った。
それが初めてのデヴィッド・ボウイでした。
もらったCDのアートワークには、ドレスを着た女の人とも男の人とも言えない、美しい人が描かれてて、何だかよくわからないけれど、色んなことが腑に落ちたような不思議な感じがした。と同時に色んなことが複雑になった気もした。
ちょうど、自分のジェンダーみたいなもの(当時はそういう問題だとは認識していなかったけど)をぐるぐると考えていた頃で、たまに異姓装…そう男装ですね、そういうのを意図的にやってみたり。短髪にして脱色してみたり。所謂黒歴史的な。
世間一般的にはちょっと特殊な大学だったのでそういうアイデンティティについて考える子も沢山いたし、カミングアウトしている子もいたので、わりと自由に考えたり行動に移してみたり、発言できたのは良かったと今でも思う。
そんな時に自分が生まれる何年も前に発売されたというCDを手にして、幼いなりに色々考えたのだと思う。
結局何も答えは出なかったけど。
それでも、思いつく事は色々やってみたし、誰もそれについて「オカシイ」と笑う人もいなかったあの環境に身を置けた事は今でも感謝している。
宝物のような4年間だったと思う。
もしかしたら、陰で笑われてたかもしれないし、後ろ指さされてたかもしれないけど、もしそうだったとしても「いや~、ほら、わたし変だからさ!」みたいな事を強がって言えてた頃だったような気がしている。
だって、わたしより変な人が、まわりに沢山いたから。
みんな「自分が普通でないことは認識しているが、あいつより自分はマトモだ」って、みんながみんな思っていた、そういう学校だと認識しているし、今でもそう思っている。
同級生に先輩に後輩に、教授や講師に大学の職員も、なんか浮世離れしているというか、ちょっと変だった。
閑話休題
デヴィッド・ボウイは変化をし続けた人だと思う。
変化し続ける為に色んな事をやってみたり、誰もやった事の無い事をしてみたり。
そして、とにかく美しい人だったと思う。
69歳の誕生日にリリースされた最後のアルバムは「★(Bkackstar)」だった。
彼は星になった。
最初から星だったのに。
帰ってっただけかもしれないけど、寂しい。
一つの時代が終わったんだなぁ、と思うと同時に、まだロックの歴史ってそんな短いのか、なんて思ったり。
な、なんだかポエムっぽくなってきて恥ずかしいのでこの辺で(笑)
とにかく凄い人だったんだよ!ってのをね、言いたかった今日の日記でした。
あ!そうだ、今これ書いてて凄くスッキリしたことがあって、わたしが青とか青い大きな花柄の物とかに無性に惹かれるのってあのジャケットのアートワークのせいなんじゃ?!?!マジかー?!
でもなんか、そんな気がする。
己の美的感覚って、何処で燻るかもわからないし、何処で着火するかもわからないんだなぁ。
思い出せてよかった。
という訳で、今日はこの辺で。
R.I.P David Bowie